ちいちゃんパパのブログ

日々の、あることないこと。なんて、ほんとはちがう目的だったんですけど。まあ。いろいろ

小さな生き物

先週末は天気が良かったし、年明けから長く続いたちいちゃんと妻の体調不良も回復してきたしということで、どこか外におでかけに行きたいなあと考えていたのだけど、

 

「松田山あたりに河津桜を見に行かない?」と、ぼくが聞くと、「カワヅザクラってなに?」と、ちいちゃん。

 

「そうだなあ。幼稚園とか小学校で咲いてたさくらは分かるでしょ」

 

「うん」

 

「うん、そのいつものさくらよりちょっと早く咲くさくらのこと」

 

「じゃあ、学校に咲いてるようなさくらを見に行くの?」

 

「うん。正確に言うとちょっと違うんだけど、もっとたくさん咲いているしね。けど、まあ、そんなものかな。なんかイベントもやっているみたいだよ」

 

「そっかあ」と、ちいちゃん。「楽しそうだけど、わたし、花粉症だから行きたくないな」

 

「そっか」と、ぼく。「じゃあ、平塚あたりにイチゴ狩りとかは、どう?」

 

「やっぱり、わたし花粉症だからお外には行きたくないの」

 

なるほど。

 

花粉症で鼻はぐしゅぐしゅ、目はしょぼしょぼ、目と鼻のまわりはこすりすぎで腫れちゃってるちいちゃんは外にはできるだけ行きたくないみたい。

 

はい。

 

それって、ぼくのせいかもしれないです。

 

ぼくは昔からアレルギー体質で、スギの花粉症は特にひどい。ぼくがそうなんだから娘のちいちゃんだって花粉症なのも仕方がないのかもしれない。たしかに最近のちいちゃんは目も鼻もとてもつらそうで。けれど、お医者さんは行きたくないっていうし、とりあえず薬局で子供用の抗アレルギー目薬があったからそれでしのいでおくしかないのかな。

 

そんなわけで、

 

土曜日はお外はあきらめて、ひさしぶりにカラオケへ。そして日曜日には映画を観に行くことになりました。

 

カラオケをしているとき、公開したばかりのドラえもんの映画の宣伝が何度も流れていて、それを見ていたちいちゃんは星野源さんの主題歌を歌い出しました。

 

どどどどどどどどどど、ドラえもん・・・。

 

はじめて聴いた歌をめちゃくちゃな音程で家族で熱唱。ほんと、ひとさまには見せられないなあ。でも、はじめてでもなんでも耳に残る素敵な歌を作る星野源さんってすごいひとだ。「ドラえもん」ってタイトルをつけちゃうっていうのもすごいことだと思うし。

 

で、

 

映画も観たくなっちゃったちいちゃんは、「ねえ、パパ」と言ったわけです。

 

「明日はさ、ドラえもんを観に行こうよ」

 

ということで観に行ったのが、3日に公開したばかりの「映画 ドラえもん のび太の宝島」。

 

スティーヴンソンの小説「宝島」のストーリーを知ったのび太くんは冒険の旅に出たくなります。そしてドラえもんが出してくれたひみつ道具が「宝探し地図」。宝探し地図が示した場所は太平洋上の謎の島で、のび太くんたちはそんな謎の島を目指して冒険の旅に出るわけです。

 

もちろんぼくもこどもの頃ドラえもんを観ていたし、とても好きでした。なにせぼくはこどもの頃からのび太くんと呼ばれていたくらいだし。

 

でも、それってあんまりいい意味じゃなくて、メガネでひょろひょろしていて、弱虫で泣き虫でみたいな感じででしたけど。

 

そんなのび太くんが今回はとてもかっこいい。まあ、もちろん基本ダメな子なんですけど、でもたいせつなことを感覚として知っているというか。

 

だいすきな子を守りたい、助けたい。

 

そのためにちいさなその手を伸ばせるってことはとても尊いことだと思う。ぼくにはその手を伸ばせただろうか。助けに行けただろうか。

 

大人の思考で観てしまうと、そんなに単純じゃないよなとか、結局なんにも解決してないよなあとか、素直に物語に入り込めないこともあるかもしれないけれど、親として、夫として、家族としてのぼくはとても感動してしまった。恥ずかしながら、泣いてしまったな。

 

妻をたいせつにしたいって改めて思ったし、ちいちゃんをひとりにはしたくないって強く思った。誰が欠けても、ぼくたちはもうこれまでのぼくたちじゃなくなっちゃうのだから。

 

まあ、

 

そんなことあれやこれやと考えなくともとにかく単純に面白かった。ちいちゃんもわくわくドキドキ、観ていたんじゃないかなと思う。だって横に座ったちいちゃんは笑ったり、真面目な顔になったり、目まぐるしく表情を変えていたから。

 

「ぼくが助けなきゃ」

 

故障してしまったドラえもんのび太くんが勇気を振り絞って言ったことばはとてもかっこよかった。でもそんなふうに言える相手がいることこそ何よりも尊いことかもしれない。

 

できるなら、

 

いつかちいちゃんにもそんな友人ができたならいいなと思う。ぼくはこどもの頃からずっととても弱いひとで、守りたいと思えるようなひとに出会えるなんて思いもしなかった。

 

たぶん、根元の部分にあるそれはいまも変わらない。弱虫で、泣き虫で、臆病で、自分のことをネガティブに表現することならいくらでもできる気がする。

 

でも、

 

幸いなことにぼくは守りたいひとたちに巡り合えた。ちいちゃんや妻の為なら、ぼくはのび太くんとおんなじことばを言うことができる気がする。

 

この年になってさ、

 

やっとかもしれないけれど。

 

ん、

 

「ほんと?」

 

って、妻には言われちゃいそうだな。けど、たぶん。それはほんとだよ。