ちいちゃんパパのブログ

日々の、あることないこと。なんて、ほんとはちがう目的だったんですけど。まあ。いろいろ

キラキラ

ここのところずっと、小説を読んでいる。

 

といっても、普段の生活は変わることもないからそれまでスマートフォンを見て過ごしていた早朝のひとときや会社での昼休みを読書の時間にしたというだけなのだけれど。

 

だからそんなにたくさんの本を読んだというわけでもなくて、ただそれでもここ数ヶ月で数冊の本を読むことができた。

 

それで何かが変わるというわけではもちろんないけれど、ちょっとした心境の変化はあったりもする。代わり映えのしない時間を過ごしているとそんなつもりはなくても心は硬くこわばって感じることを止めてしまう。気付かずにいればそれはそれで何事もなく流れてしまうものだけど。

 

その本はとても素敵な本だった。といってもまだ半分くらいしか読み終えていないから、おそらく。

 

多分、そのひとの最初の小説を僕はずいぶんと昔に読んだことがある。僕の大好きな人が帯にコメントを書いていて、それに興味を惹かれて手に取ったのだ。でもその小説を僕は余り覚えていない。確か一日に一組だけお客を迎える食堂の話。

 

だからその後、僕がそのひとの本を読むことはなかったのだけれど、なんとなく静かで背筋のピンと伸びるような小説が読みたいと思っていたところに、その文庫本のやさしげなそれでいてどこか凛とした装丁を見つけて自然と手が伸びた。

 

それがそのひとの小説だというのは、後で気が付いた。

 

キラキラ

 

それはバーバラ婦人が教えてくれた秘密のおまじない。「心の中で、キラキラ、って言うの。目を閉じて、キラキラ、キラキラ、ってそれだけでいいの。そうするとね、心の暗闇にどんどん星が増えて、きれいな星空が広がるの」

 

読み終えてしまうのが淋しいなんて思うのは久しぶりで、でももちろん早く先が読みたい。NHKでドラマ化されていたということも後で知ったことだけれど、どこか世捨て人めいた生活を送っている僕はもちろん結末を知らないからいま読書の幸せを楽しんでいる。

 

目を閉じて、キラキラと呟いてみる。キラキラ、キラキラ、呟くたび暗闇に星空が広がって不思議と心の中の不安が消えていく。

 

そうか、

 

けっこう不安だったんだな。といってそれは別に特別なことではなくてきっとみんな多かれ少なかれ不安を抱えている。

 

別に小説を読んでいなくとも、それはいずれ気付くことだったかもしれないけれど、そんな小さな変化で心が軽くなることも確かにあるのだとそんなことをちょっと思った。

 

 

サンリオ

先週末、帰りがけにドラッグストアに寄るとサンリオピューロランドの割引券があるのに気がついた

 

ん、

 

これはダメな思いつきだぞ、と思いつつ一枚もらってきてしまった。

 

今週末は社員旅行でぼくは土日と不在。それでなくともここのところ土日どちらかは仕事ということが多くて先週末は久しぶりに土日ともお休みの貴重な週末だった。だからちいちゃんをどこかちょっとしたところに連れて行ってあげたいなあと思っていたのだけれど、これがなかなか思いつかない。

 

そんなとこだったのでドラッグストアでサンリオの割引券を見つけて、「そうだ、サンリオピューロランドに行こう」とぼくは思ったのだった。

 

ほんとうはもっとなんか夏らしいところで、夏らしい経験をさせてあげたいと思うのだけれどいかんせん、ぼくがもともとその方面が不得手なうえに、ちいちゃんもどちらかといえばアウトドアが苦手な女の子。

 

「まあ、こんなに暑い夏は室内で遊べるとこがいいよね」と自分で自分に言い訳をして家路に着いた。

 

で、

 

「明日はさ」と、ぼくは帰ってすぐに言った。「サンリオピューロランドに行こうか」

 

「ほんと!」と、ちいちゃんは目を輝かせた。思っていた以上にうれしそうに。

 

あー、

 

と、ぼくは思った。安易な思いつきなんだ、ちいちゃん。ぜんぜんたいしたこと思い浮かばなくて次善の策だったのさ。それでもきみがそんなによろこんでくれるなら。

 

「明日は楽しい一日にしようね」と、ぼくは言った。

 

***

 

夕食の後で食器を洗っていると、

 

「ねえ、パパ」と、ちいちゃんは言った。「あそぼ!」

 

「んー、明日はちょっと早いしさ」と、ぼくは言った。「先に洗い物させて。で、ママがお風呂出たらすぐ入って寝なきゃ」

 

「えー」と、ちいちゃん。「昨日もそんなこと言って遊んでくれなかったよ」

 

まあ、確かにここのところ帰りも遅かったからそんな日が多かったかもしれない。明日は休みだし、おでかけと言ってもサンリオピューロランドはそれほど遠いわけでもないし、だから今日は洗い物は後回しにしてちいちゃんが寝てからすることにしようと思って、オーケーとぼくは言った。

 

「それじゃママがお風呂から出るまで遊ぼう」

 

「うん」と、ちいちゃんうれしそうに言った。「それじゃお布団の部屋で待ち合わせね」

 

「はい」と、ぼくは言った。

 

最近のちいちゃんのお気に入りは、プリキュアポケモン。それからケーブルテレビでやっているスレイヤーズというアニメ(けっこう昔のアニメらしい)。それと七つの大罪七つの大罪もケーブルテレビでやってるアニメ。

 

で、

 

これらのアニメがいろいろ絡み合ってうちにあるたくさんのプリキュアポケモンの人形で始まるのがごっこ遊び。たとえばプリキュアの人形たちになったぼくが言う。

 

「きょうは何の劇をやる?」

 

「きょうはスレイヤーズ

 

「それじゃ配役を決めなくちゃ」

 

「ちょっとなんであなたが仕切ってるの。まずはリーダーを決めなくちゃ」

 

みたよな感じで人形を使って劇をするみたいに、ちいちゃんとパパで物語を作っていったりするのだけれど、その日ちいちゃんはプリキュアの気分。というのもパパがクレジットカードで貯まったポイントを使ってプリキュアの新しいキャラクターの人形をふたつ頼んでいてそれが数日前に届いていたから。

 

キュアアムールとキュアマシェリ。最近、登場した新しいキャラクター。ん、どっちがどっちか判然としないけど、きょうはこのふたりが主役の物語。

 

「ねえ」と、ぼくは言った。「こっちの小っちゃい子って頭おっきいよね。一番年下なのにね」

 

プリコーデドールという人形なんだけど、これ髪の毛や服が取外しできて、普通の中学生の姿になったり、プリキュアに変身できたりするなかなか優れものの人形。

 

で、

 

この新しいふたりの人形はなんだか髪の毛がほかのキャラクターの髪の毛より分厚い感じがぼくにはして、なので頭おっきいねという表現になったのだけれど、

 

「あー」と、ちいちゃんは言った。「パパ、いまひどいこと言ったよ。女の子にそんなこと言ったらダメなんだよ」

 

「いやいや」と、ぼく。「そんなつもりはないって。ほら、これ人形だしさ」

 

たじたじのぼくは話題を変えようと思って、「こっちの小っちゃい子っていくつくらいかな。ちいちゃんと同じくらいの小学生かな」

 

「ん」と、ちいちゃん。「わたしも知らないよ。まあ、わたしは2年生だけどね」

 

いや、

 

なんかぼくは笑ってしまった。

 

ねえ、ちいちゃん。さすがにぼくもちいちゃんのパパですから、ちいちゃんの年齢と学年はさ、知ってるんだ。 

 

醒めない

妻とケンカして、こどもみたいにずっと買わずに我慢してたものを買ってしまった。スピッツのCD。

 

「醒めない」

 

なんか、

 

最近のスピッツはすごくストレートだなって思う。まだまだ醒めない。アタマんなかでロック大陸の物語が、最初ガーンとなったあのメモリーに今も温められてる。さらに育てるつもり。

 

なかなかいい年して醒めない、とは言えないものだけど、でもそういうのってすごくかっこいいって思う。

 

***

 

先週、授業参観があった。

 

妻の体調が良くなかったこともあったし、1年に1度くらいは学校でのちいちゃんの様子を見てみたいなあという気持ちもあってぼくが行ってくることに。

 

1年生だった去年は1学期毎に1度、3回の授業参観があったけれどぼくが出席できたのは最初の1回だけ。

 

そのときははじめての授業参観だったからか、それほど多くはなくとも何人かお父さんはいたのだけれど、今回はお父さんはほぼぼくだけ。ほぼというのはもうひとり来ていたお父さんは兄弟姉妹がいるのか出たり入ったりだったから。

 

なのでなんとなく、ぼくとしてはちょっとしたいごごちの悪さを感じながらの授業参観だったのだけれど、こどもたちにはもちろん関係はなくてお父さんが来ていることが珍しいのか、

 

「だれのお父さん?」

 

で、

 

ぼくが答えようとするとちいちゃんの友達の女の子が、「ちいちゃんのお父さんだよ」と代わりに答えてくれた。

 

授業参観の内容は国語で、「ふきのとう」というおはなしの音読。4つくらいの班に分かれたこどもたちがそれぞれ担当した登場人物のセリフを前に出て音読していくというもの。

 

こどもたちの音読は、とても素敵だった。

 

もちろん長短それぞれで、大きな声でしっかり読み上げる子や表情豊かに感情を込めて丁寧に読み上げる子もいれば、早口になってしまったり、恥ずかしがっていたり、声が小っちゃくなってしまっていたり、教科書で顔を隠してしまったりする子ももちろんいて、でもみんな一生懸命。一生懸命な姿がとても素敵で、かわいらしかったり、かっこよかったり、とても心打たれた。

 

ちいちゃんはというと、ちょっと照れちゃってたのか、だんだんと教科書が上に上がってきてなんか顔が見えないよってこともあったけど、気持ちを込めて、いつものちいちゃんとはちょっと違うちょっと大人びた、とてもやさしい声で雪のセリフを読み上げていた。

 

「とても素敵だったよ」

 

席に戻ってきたちいちゃんにぼくが言うと、ありがとうと言ってちいちゃんは笑った。なんだかその表情がまた大人びていて、いつのまにか、ほんとうにものすごいスピードでちいちゃんは成長しているんだなって、そんなことを思った。

 

ちょっとだけ残念だったのは担任の先生の考えが伝わってこなかったことかもしれない。普段の授業風景を見てもらうっていう意図なのは分かるし、きっと授業参観というのはこういうものなのだろうけど、なんの説明もなく普通に授業が始まり、そして終わってしまった。

 

個人的には、これからどんな授業をするのか、こどもたちにどんなことを伝えたいのか、そのためにこんなことをしてきた、みたいなことを最初に説明してくれたらよかったのにと思ったりした。

 

だってもともと授業参観なんて普通のことではないんだし、こどもたちだって普通の授業だなんて思ってないのだから、特別感丸出しでもいいんじゃないかなってぼくはそんなことを思うから。楽しく、無邪気にね。

 

なんて、

 

それは先生じゃないから言えるのかもしれないし、ぼくは行けなかったのだけれど、授業参観のあと学校説明会というのがあったのでそこでちゃんと説明されていたのかもしれない。

 

***

 

こどもたちの授業を受ける姿を見ていて、なんとなくぼくは自分がこどもだったころのことを思い出したりしていた。

 

具体的なことはなにも思い出せない。どんな授業だったか、なにをしたか。でもいつも母が来てくれて、ぼくはなんとはなしにそわそわとふわふわとした気持ちでいたような、そんな気がする。

 

あのころ、ぼくはどんなことを考えていたのかな? どんな未来を想像していたのだろう。それともなんにも想像もしていなかったかな。

 

ただ、

 

ふわふわそわそわした気持ちはいまも変わらない。たいしたひとでもないのに、もっともっとなにかできるんじゃないかって気がしている。

 

こんなはずじゃない。

 

もっともっとなりたい自分があって、ぼくはまだまだどこにも辿りついていない。でも考えてみたら生きているかぎり辿りつく場所なんてないのかもしれない。

 

醒めない。

 

それってこういうことも言うのかな。ぼくにはロック大陸のような、ガーンときたものなんてないけれど、なんかずっとそういうものにあこがれて、それを探し続けているような気がする。

 

ねえ、

ちいちゃん。

 

きっとなにか、あるはずだよね。それっていくつになったって変わらない。ぼくもきみたちと一緒。きみたちがこれから探し続けるものを、ぼくもまだ探し続けている。

 

 

日曜の朝にはパンを焼いて

ちいちゃんがまだ2歳か3歳かという頃、ぼくは小さなパン屋さんをしていた。といっても1年半ほどの短い期間だけれど。

 

でも不思議なことにちいちゃんとはあんまりパン作りをしたことがなかった。まったくないというわけではないけれど、お菓子作りに比べたらないにひとしい。

 

パン屋さんをしていた時期はまだちいちゃんが小さ過ぎたということもあるし、ぼくに一緒になにかを作るという余裕がちょっと生まれた頃にはちいちゃんはどちらかといえばお菓子作りに興味を持っていた。ちなみにぼくはお菓子作りも大好き。

 

なのでちいちゃんとパン作り、というのはあんまりなかったのだけれど、なんだか唐突にちょっと一緒に作ってみるのもいいかなあなんて思うようになって。

 

で、

 

今週は土曜日が当直で出勤なので日曜の朝、ちょっと強制的にちいちゃんと一緒にパン作り。うまくできるといいな。

 

***

 

さて、

 

ところでぼくがいちばん最初に焼いたパンはベーグルだった。というのも妻の実家の近くにとてもおいしいベーグル専門店があって、ぼくたちはそのベーグルをほんとうによく食べていて、あるとき、

 

「これ、自分で作れたらいいな」

 

と、ぼくは天啓のように思った。それでレシピを自分なりに調べて作ったのが最初だった。

 

上手く焼けたかっていうと、

 

焼けました。シワシワのベーグルが。でも初めて自分で捏ねて焼いたパンはそれでもとてもおいしくて、思い出深いもの。

 

うん。

 

だから、

ちいちゃん。

 

悪いけどちいちゃんの最初のパン作りもベーグルということで。まあ、正確にはいままでもロールパンとかいくつか一緒に作ってはいるのだけれど、でも多分最初から最後まで一緒に作るのはこれが初めての経験になるはずだよね。

 

***

 

とはいえ、

 

最初にベーグルというのはあながち間違ってもいないよなあとも思っていて、茹でて焼くというちょっと特殊なパンなので難しいと思われがちだけれど意外とそんなこともなくて。

 

いくつか理由はあるのだけれど、まずベーグルはかための食感のパンで、茹でるという工程もあるから発酵時間は短めで大丈夫だということ。ベンチタイムのあと、成形をしてそのまま20~30分程度発酵させるだけ。ちょっと早く起きるだけで朝食前に焼くこともできる。

 

また、かためのパンだから水分も少なめでいいということ。水分の少ない生地はかたくて女性には大変とよく本などには書いてあるけれど、個人的には手ごねの場合、水分の多い生地よりも水分の少ない生地の方が扱いやすい。

 

そして材料がとてもシンプルだということ。ベーグルには基本的に油脂は必要なくて、小麦粉(強力粉)、砂糖、塩、イースト、それから水、これだけで作れてしまう。なんか簡単そうだなって思いませんか?

 

こんなわけでぼくの最初のパン作りはベーグルだった。

 

で、

 

以下、ちいちゃんに作ってもらうための覚書きということで。ちなみにちいちゃんは妻の実家の近くのベーグル屋さんのベーグルが大好きだし、パンを茹でるってのもこどもは面白く思うんじゃないかなと。だからベーグル作り、喜んでくれるんじゃないかなあって思うのだけど。

 

どうかな?

 

***

  

日曜日、

 

ちいちゃんとスムーズに作れるように思い浮かぶままに書いておくけれど、まずは必要な道具。だいたいは台所にあるもので済んでしまうはず。

 

「ボウル、計量カップ、デジタルスケール、料理用の温度計、めん棒、へら、スケッパー(包丁でもいいと思う)、パン捏ね台(まな板でも)、フライパン、すくい網、オーブンシート、ミトン、鍋敷き」

 

こんなものかなあ。大丈夫、全部ありそう。ざいりょうはごくシンプル、小ぶりなベーグル4個分で、

 

「強力粉200グラム、砂糖(てんさい糖がおすすめです)10グラム(5%)、塩3グラム(1.5%)、インスタントドライイースト2グラム(1%)、水110グラム(55%)、ケトリング用砂糖(てんさい糖)20グラム程度」

 

そしてつくりかた、

 

その前に、まずパン作りでけっこうたいせつなのが温度。パン作りを始めたばかりの頃、ぼくはあんまり温度というものを意識していなかったからよく失敗をした。冬なのに仕込み水を冷蔵庫から出したばかりの水を使ったり、冷蔵庫から出してすぐのざいりょうを混ぜ込んだり。

 

なんでこれがダメかというと、捏ね上げたときの温度が下がってしまうから。パン生地は捏ねあがったときに28度くらいなのが理想で、そうでないと1次発酵、2次発酵でいくら温度をパン作りの本とかとおりに合わせてもうまく発酵してくれなかったりする。だから夏であれば逆に仕込み水は冷たくしないといけないし、ざいりょうも冷やしておかないといけない。

 

でもまあ、ぼくがちいちゃんと作る分にはあんまり気にしすぎることもないんだけれど(こまかく考えるなら仕込み水の適温を計算する計算式もある)、この季節であれば粉類は常温に、水は30度くらいにしておくのがいいかもしれない。

 

さて、

 

そんなことに注意しつつ、つくりかた。

 

①まずはボウルに砂糖以外の粉類を入れて軽く混ぜ、まん中にくぼみを作る。そこに砂糖と、水を1/4くらい入れてへらなどで砂糖をよく溶かす。砂糖が溶けたら、へらで周りの粉をくずすようにして混ぜていき、さらに少しずつ水をすべて加えていく。

 

②ある程度混ざりかたまりになったら、まずボウルの中で手で捏ねていく。ボウルをまわしながら、手の付け根っていうのかな、そこで押すような感じで捏ねる。

 

③なんとなくボウルや手にべたつかなくなってきたら、捏ね台の上に出して、さらに15~30分程度捏ねる。水分の少ない生地なので手前から奥にふたつにおるような感じで、やっぱり手の付け根で捏ねていく。それを少しずつずらしながら表面がきれいな感じになるまで捏ねる。

 

④捏ね終わったら、表面が張るように丸めて、それをスケッパーなどで4つに切り分ける。1個81グラムぐらい。

 

⑤切り分けた生地を、切断面を内側に丸め込むような感じで表面が張るように丸めてしっかりとじる。お皿の上などにとじ目を下にして並べ、乾燥しないようにラップをして10分程度ベンチタイム(そのまま放置)。

 

⑥ベンチタイム後、とじ目を上にして手で平らにして、さらにめん棒で10センチくらいの楕円形にしてから、それを三つ折りに。重なった部分を空気を抜くような感じで手の付け根でしっかりと押してから、さらに二つ折りにしてつなぎ目をしっかりととじ、なんていうかナマコ状にする4個全部その状態にする。

 

⑦暑い時期以外はここでまたラップをかけて、5~10分くらいベンチタイムをとると成形がしやすいかもしれない。で、それから成形。手のひらで20センチくらいまで細長い棒状にして片方のはし、つなぎ目側をスプーン状にめん棒で平たくし、さらにつなぎ目を上にしたままぐるっとドーナッツ状にしてスプーン状の部分でもう片方のはしを包み、しっかりととじる(ここをしっかりとじておかないと焼成の最中に剥がれてきれいな焼き上がりにならない。餃子の皮みたくちょっと水をつけてもいいかも)。それを小麦粉を軽く振ったお皿の上などにつなぎ目を下にして並べふわっとラップをしてオーブンの発酵機能などを使って35度で20~30分程度発酵させる。見極めは難しいけれど、なんとなくひとまわり、おおーおっきくなったなあというのが目安でいいかなと。

 

⑧この間に天板を入れたオーブンを200度に余熱。フライパンに水を入れて沸騰させ、さらにてんさい糖をいれる。発酵が終わった生地をスケッパーなどを使ってやさしくお湯の中につなぎ目を上にして入れ30秒、すくい網で裏返してまた30秒茹でて、お湯を切りながらお皿の上に取り出す。

 

⑨ここからはできるだけ手早く。オーブンから天板を鍋敷きの上に取り出し、オーブンシートを敷いて、その上に茹で上がったベーグルを並べオーブンへ入れる。そして200度で15~20分程度焼成して完成。

 

***

 

うーん。

 

ぼくの以前作っていたときの記憶で書いてみたけれど、読み返してみると文字だけって非常に分かりにくい。それに記憶だから実際に作ってみると違っていたりもするかもしれない。

 

ぼくはちいちゃんにちゃんと説明できるかなあ? まあ、でもいまはすぐにつくりかたをいろいろ検索できるし。間違っていたらそこを参照してやり直そう。

 

それに、

 

ケトリング(茹でること)、焼成以外はこどもにもあんまり難しいこともないから、ちいちゃんにもちゃんとできるんじゃないかとも思っていて。多めに生地を用意して、ちいちゃんに好きなかたちにしてもらってもいいし、茹でずに焼いちゃってもいいし。

 

だから、

ちいちゃん。

 

日曜の朝にはパンを焼いて、いつもちょっと寝坊してくるママを驚かせてあげよう。きっと、楽しいにちがいないよね。

パパ、パンケーキを作って

春、

 

いくつも書きたいことはあったはずなのだけれど、なかなかうまく書くことができず気がつけばいつのまにか桜も終わり、葉桜のときに移ろうとしている。

 

ちいちゃんは無事始業式を終えて小学2年生になり、妻は今年はふれあい委員をするらしい。目まぐるしく世界は動いているのに、ぼくだけが変化に対応できない絶滅危惧種みたいに身動きがとれないでいるような、そんな気がしてならない。

 

ぼくは春が苦手だ。

 

というよりも季節の変わり目はいつも少しだけ不安定な気持ちになる。新しい季節に期待を膨らませるひとたちの明るさが、ほんとうは暗いぼくのこころを押しつぶすようなそんな気持ち。妻やちいちゃんに悟られないように押し殺すそんな気持ちがどろどろとこころの奥に溜まってこころもからだも不安定にするのかもしれない。

 

だからだろうか。ちょっと体調も崩し気味で、もうずいぶんと咳が止まらない。それとももっと単純にこの体調の悪さが気持ちを不安定にさせるのだろうか。

 

ともかく少し仕事の落ち着いた先週、呼吸器科に行くと気管支炎。もうちょっとほっておいたら肺炎だよ、と言われてしまった。4、5年前に短い期間に2度肺炎になったのだけれど、そのときとおんなじ。大丈夫、大丈夫と無理をしているあいだに限界を超えてしまう。まあ、今回は限界まではいかなかったけど。

 

なのでもう1週間、薬を飲み続けているわけだけど、いつもこの手の薬は身体に合わなくて咳は治まってくるのだけれどなんだか体調は良くない感じ。食欲はなくなるし、お腹の調子も良くない。

 

と、

 

こんなふうにときどき気持ちが暗くなってしまうのはぼくの悪い癖でいかんともしがたく、かといってちいちゃんにまでそんな姿は見せられないから元気なふりをするわけだけれど、ちょっとばれちゃっていたかもしれない。

 

情けないな。

 

でも、仕方ない。こればかりは。ひとってそんなに簡単に自分を変えられないし、それが言い訳だってことは自分がいちばん分かっているからまあまだ救いがある気もする。ちょっとずつちょっとずつ変わっていけたならいい。

 

土曜日、

 

久しぶりに土日がまるまるおやすみで、でもぼくは寝坊してしまった。休日もぼくはたいてい6時には起きて朝の準備をするのだけれど、その日は目が覚めるともう6時45分。

 

うーん。

 

と、ぼくは悩んでしまった。すぐに起きて準備をするか。たまには朝寝坊をしてしまうか。でも、そんなことを考えている間にちいちゃんがぼくの上に飛び乗ってきた。

 

「ねえ、パパ」と、ちいちゃんは言った。「今日はパンケーキ作って」

 

そうだ。

 

ここのところ忙しくておやすみの日にパンケーキを作ってなかったな。オーケーとぼくは言った。

 

「今日は一緒にパンケーキを作ろう」

 

ぼくひとりだったなら、きっとぐずぐずと暗い気持ちを引きずったままに違いなかった時間もちいちゃんのおかげで前向きになれる。

 

まだまだほんとのところ体調も気持ちも万全じゃないけれど、不思議とぜんぜん平気な気がしてくる。いつのまにかちいちゃんと楽しくごっこ遊びなんかしてるんじゃないかってそんな気がする。

 

もう少し、

 

時間が立てばきっと体調も良くなって、そしたらみんなでどこか遠くへおでかけしよう。どこかに忘れてきちゃった春を、取り戻しにいこう。

春になったら

修了式の次の日は約束通り、ディズニーシーへ。

 

春休み。

 

1年間がんばったちいちゃんに何かをしてあげたいなあとはなんとはなしにずっと思っていたのだけれど、去年、春にディズニーランド、秋にディズニーシーとそれぞれ初めて行ったちいちゃんは夢の国がとても楽しかったみたいで、「また行きたいな」とよく言っていたから、まあありきたりなのだけれど家族でディズニーへ行こうということに。

 

で、

 

「ランドとシー、どっちに行きたい?」と聞くと、「うーん・・・」と頭を抱えちゃったちいちゃんでしたが、ずいぶんと真剣に考えた末、「シー」と答えた。

 

「だってさ」と、ちいちゃんは言った。「ランドはその次、また行けばいいもんね」

 

ん、

 

そんなに頻繁に行くことが決まっちゃったわけ?

 

まあ、

 

大人も夢の国は楽しいからいいのだけれど。

 

***

 

今回、ちいちゃんが行きたかったのはまず「トイ・ストーリー・マニア!」。前回も行きたかったのだけれど、大混雑で断念したところ。

 

けど、

 

大人気のアトラクションは今回も、入場してすぐにファスト・パスは発行終了。普通に待ったら170分待ち! 今回も残念ながら、断念することに。

 

で、

 

次にちいちゃんが行きたいと言ったのはなんと、「タワー・オブ・テラー」。ほんとうに大丈夫? とぼくが聞くと、なに言ってるの、大丈夫だよ。私、こういうの大好きなんだから、とのこと。

 

というわけで、タワー・オブ・テラーに行くことは決まったのだけれど、これも大人気みたいでファスト・パスを使用して入れるのは2時間後。さて、この空き時間にどうするか?

 

ぼくの提案はアラジンとかアリエルとか、その手の場所でゆっくり過ごしたいなというところだったのだけれど、ちいちゃんの向かった先は「ニモ&フレンズ・シーライダー」。

 

楽しそうなんだけどね。けど案の定、ここも混雑しているわけで、でもまあここはまだ90分待ちということだからここに並ぶことに。

 

さて、

 

並んでいるあいだは当然のことながらちいちゃんは退屈。だんだんと耐えられなくなってきて、なのであの手この手で退屈しのぎをするわけだけど、これがけっこうたいへん。

 

「ねえ、パパ」と、ちいちゃんは言った。「なんかおもしろいことやって」

 

ん。

 

そんなむちゃぶりされても困ってしまう。残念だけどぼくはお笑い芸人じゃなし、こんなところで退屈をしのげるおもしろいことなんてなかなかできない。

 

「それじゃさ」と、ちょっと考えてぼくは言った。「なんか物語を考えよう」

 

「どんな物語?」

 

「たとえばさ」と、ぼくはディズニーシーのまん中にある火山を指さして言った。「あの山が本物だったらどうする?」

 

「でもさ」と、ちいちゃん。「にせもののお山でしょ」

 

「でもさ」と、ぼくは言う。「にせものお山のなかでさ、なんか悪いヤツがほんものの火山にしちゃったらどうする?」

 

「どんな悪いヤツ?」

 

「ん、ぼくらベアベアーズとか?」

 

「ぜんぜん怖くないじゃん」

 

「いや、だからさ。ベアベアーズがさ、誰かに操られちゃってるとか?」

 

「誰かって、誰?」

 

「ん」と、ぼく。突込みがなんだかいつもより激しい。「ほら、ぬらりひょんとか?」

 

「それもあんまり怖くないじゃん」と、ちょっと呆れ顔のちいちゃん。「ていうか、あんまりつながりがないし」

 

「そう?」と、ぼく。ちょっと風向きが怪しくなってきた。というか最初から風向きは怪しいのだけれど。「ほら、シロクマがクロクマになっちゃったら怖くない?」

 

「んー?」

 

「あ、そうだ」と、ぼくは急いで続ける。「あれにしよう。マレフィセントとか」

 

「なんで?」

 

「ん」と、ぼく。「ほら、あれだよ。ディズニーのお客さんを人質にしてさ、ディズニー国をつくるんだよ」

 

「ディズニー国?」

 

「そうさ、ここに独立国家をつくっちゃうのさ」

 

「どういうこと?」

 

「ん、まあそれはそれとしてさ。そんなピンチに助けに来たのは誰だと思う?」

 

「んー」と、ちょっと考えるちいちゃん。「プリキュア!」

 

「だと思うでしょ」と、なぜか得意げなぼく。そして低く渋い声でぼくは言いました。「助けに来たのは、バットマンさ」

 

「ねえ、パパ」と、ここでママが言った。「ちゃんと考えて話さないと、嫌われちゃうよ」

 

はい。

 

ごめんなさい。というかもう少し早く助け船を出して欲しかったな。

 

というわけで、退屈しのぎはスマホプリキュアのゲームということになりました。最初からこっちにしとけばよかったね。

 

そして、

 

なんだかんだと2時間近く待ってニモ&フレンズ・シーライダー。けっこうしっかりシートベルトをしてくださいなんて言うものだから、ちょっドキドキしちゃってたけどそんな怖いことはぜんぜんなく、ニモの美しいうみの世界に連れて行ってくれた。

 

けど、2時間待ってほんの数分で終わっちゃうって。ほんと、とても素敵だったわけだけど。

 

で、

 

タワー・オブ・テラー。なんとなくおわかりになるんじゃないかと思うけれど、ぼくはこういうのがとても苦手。

 

なので、かなりドキドキ。楽しみでしょうがないちいちゃんは早足で向かうくらいの勢いだったけど、さすがにシートに着くとドキドキみたいでぼくの手をぎゅっと握る。

 

そして。

 

いちばん悲鳴を上げたのはママ。ちいちゃんはぼくの手を強く握りしめていたからきっと怖かったんだろうけど、でも終わった後は楽しそうにまた乗りたいねって言っていた。すごいね。

 

でもぼくはちょっと、遠慮しとこうかな。

 

午前中はこんなところで、昼食。今回はリーズナブルなオフィシャルホテルに泊まることにしていたので昼食はチェックインがてらホテルのバイキング。

 

といってもパーク内でポップコーンだのアイスだのちょこちょこと食べていたからそんなにみんな食べられなかったけれど。

 

で、

 

ホテルでなんだかんだとずいぶんゆっくりしてしまったけれど、昼食後はマーメイドラグーンでまたジャンピン・ジェリーフィッシュ(前回、ちいちゃんと乗って絵にも描いてくれたやつでなんとくらげに乗るんじゃなくて貝がらに乗ってくらげが持ち上げてくれるのでした)に乗ったり、ブローフィッシュ・バルーンレースに乗ったり。

 

アラビアンコーストでキャラバンカルーセルジャスミンのフライングカーペットに乗ったり、シンドバットの世界に迷い込んだり、もうほとんど並ぶこともなく快適に過ごした。

 

そして夜も更けて、ちいちゃんのお気に入りの魔法使いの弟子になったミッキーマウスが繰り広げるナイトショーを見て、、、。

 

「あっというまだね」と、ショーを見ながらちいちゃんは言った。「楽しい一日がもう終わっちゃう」

 

「そうだね」と、ぼくは言った。「でもさ、こういうなんか淋しくて胸がきゅっとなるよな感じってさ、なんかよくない?」

 

「そうかなあ?」と、ママ。「わたしは切なくてやだけどな。ちいちゃんは?」

 

「んー」と、ちいちゃん。「よく分かんない」

 

「そっか、そうだよね」と、ぼくは笑った。「それじゃさ、とにかくまたみんなで来ようね」

 

「うん」と言って、ちいちゃんは笑った。

 

ねえ、

ちいちゃん。

 

きっと、ちいちゃんがいなかったならぼくたち夫婦はこんなに頻繁にはディズニーに来たりはしなかったと思う。ディズニーに限らず、ちいちゃんのおかげで広がった世界がいっぱいあるんだ。

 

春になったら、

 

ちいちゃんは小学2年生。また新しい階段を上るけれど、それはぼくたちも一緒なんだよ。またみんなで、素敵な景色が見られたならいいね。

 

修了式の次の日は

ちいちゃんは今日、1年生の修了式。

 

こどもの成長というのは親が思うよりも早いものだから、それも見込んで今日という日を想像していたけれど、それでもそんな想像を超えるくらいの成長を見せてくれるんだなあと昨日は思ったりした。

 

家に帰るとちいちゃんは玄関まで迎えに来てくれて、「行くよー」といつものように大きな声で言った。帰宅時の儀式みたいなもので、玄関でまだ靴も脱いでいないぼく目がけて助走をつけて思い切り飛びついてくる。

 

毎日のことだからあまり気にもしていなかったけど、でも改めて抱き上げるととても重くなったんだなと不意に気づいてびっくりした。ぼくはこんなふうにしていろいろなことを見逃していくのかもしれない。

 

でも気持ちというのは不思議なもので、というか適当なもので今日のそれは思ったよりも痛みみたいな感じはなかった。そうか、これが当たり前なんだなって、そんなことを思っただけ。こどもが当たり前のように成長していくというのはなんて尊く、ありがたいことなんだろう。

 

居間のテーブルの上にこの一年でちいちゃんが描いた絵が何枚も無造作に置かれていて、着替えに行くのも忘れてそれをじっくりと眺める。ぼくはぜんぜん知らない世界でひとりちいちゃんががんばった成果。ぼくはほんとうになにもできなかったけど、ちいちゃんは一年間をしっかりと駆け抜けたんだね。

 

「すごく、がんばったんだね」とぼくが言うと、ぜんぜんとちいちゃんは答えた。

 

「みんなやってるんだよ」

 

「そうか」と、ぼくは言った。「それじゃみんなすごくがんばったんだね」

 

「そうなの?」

 

「そうだと思うよ」と、僕は言った。みんなと同じであることがいつだっていいことだとは限らないけれど、みんなといっしょに何かを築き上げることができることもそれはとてもすごいことだと思う。みんな一緒に一年間を駆け抜けたのだ。ところでさ、とぼくは続けた。

 

「これは辻堂の公園に行ったときの絵かな?」

 

「違うよー」と、ちいちゃん。「それはアリエルだよ」

 

「ん?」ぼくにはどうも、辻堂にある公園の空中自転車の絵みたく見えてしまうのだけれど。「アリエル?」

 

「クラゲに乗って上がったり下がったりするのに乗ったでしょう」

 

「うん」と、ぼく。思い出した。去年、ディズニーシーに行ったときに乗ったアトラクション。「あれだ、クラゲのヤツだね。たしかにあれ、面白かったもんね」

 

「それでね」と、ちいちゃん。「これがママとわたし。パパはね、ちょっと失敗しちゃったんだけど、これ」

 

「うわ」と、ぼく。指さされたところを見ると、なんだか奇妙な人影がいる。「なんかこれ、幽霊みたいじゃない」

 

「でしょ」と、にこにこ笑うちいちゃん。「先生にもね、おんなじこと言われたの。パパ、かわいそうじゃんって。でもね、パパはやさしいから大丈夫って答えたの」

 

「うーん」と、ぼく。「それは褒めてくれてる?」

 

「うん」と、ちいちゃんは笑った。

 

ねえ、

ちいちゃん。

 

今日はどんな気持ち? 

 

卒業でもなし、そんな感慨もないかもしれないけれど、でもぼくはすごく感慨深い。自分では気づいてないかもしれないけれど、ちいちゃんは身体もこころもとてもとても大きくなったから。その変化を、きっと見逃してしまったこともたくさんあったかもしれないけれど、ちいちゃんのすぐそばで見つめることができたから。

 

修了式の次の日は、新しい季節の前のひとやすみ。ずっと前から約束していたディズニーに行こう。

 

楽しい思い出がたくさんできるといいね。