おかあさんはね
先日、家族で本屋さんに行ったとき、なんとなく心惹かれる絵本に出会った。それが、
「おかあさんはね」
というタイトルの絵本。作者は存じ上げませんが(すみません)、訳したひとは高橋久美子さん。
高橋さんにとっては迷惑この上ないおはなしだと思うけれど、偶然手にしたその絵本を通してなんだか旧知の友達に再会したような、そんな不思議な気持ちになってしまった。
高橋さんはチャットモンチーというバンドのドラマーだったひとでもあって、現在は作家、作詞家として活躍をされているみたい。しかもたまに聞いてたのに全然気づかなかったんだけど、NHKラジオのごごラジで、金曜日のパーソナリティも務めているらしい。
なんかこのひと、気になるおはなしを気になるはなしかたでするひとだなあなんてぼくはちょうど思っていたのだ。
で、
まだ結婚する前のはなしなのでずいぶんと前のおはなしなのだけれど、TVKテレビでサクサクという音楽番組がやっていたころ、そこでチャットモンチーの「ハナノユメ」という曲が流れていて、すごくいい曲だなと思ってミニアルバムを買ったのがはじまり。
ぼくはCDというとスピッツくらいしか買ったことがないひとで、そんなひとが買ってしまうくらいなんだかとても心惹かれる曲だったのだ。
そんなチャットモンチーも来年7月ごろに解散してしまうそうで、ちいちゃんが生まれたころからほとんど聴くこともなくなっていたくせになんだかひどく淋しい気持ちでいるのはずるい気もするけれど、それはほんとうの気持ちだったりする。
さて、
「おかあさんはね」だけれど、
おかあさんはね、ときどきかぜにおねがいするの
という一節(違っていたらごめんなさい)ではじまるとてもこころあたたまる物語で、決して押しつけることなくこどもに寄りそい、こどもの幸せを願うその物語に、なんだかすごく共感してしまった。
妻やちいちゃんにも読ませてあげたいと思ったけれど、なんだか押しつけがましいようでやめた。
それはいまではなくていつかなんでもないときに、そっとプレゼントしてあげたいなあとそんなふうに思ったのだ。
ねえ、
ちいちゃん。
ぼくはとても弱いひとなので(もしかしたらもう、ちいちゃんも気づいているかもしれないけれど)、ちいちゃんをちゃんと守ってあげることができないこともあるかもしれない。
もちろん、ぼくも40年程だけど生きてきたからそれなりのアドバイスはできるかもしれないし、全力で守ってあげたいとこころから思っている。
でも残念だけど、ぼくにできることは限られていて多くの場合、選択をできるのはちいちゃんだけなんだよね。
あたりまえだけれど、ちいちゃんの人生を決めることができるのはちいちゃんだけだから。
でもだからこそぼくも、
これからは風や雲や空に、ときどきお願いすることにしようと思う。
勉強なんてできなくてもいいし、運動音痴だっていい。
まあ、
本人は苦労するかもしれないけれど。だとすれば、それもほんとは願ったほうがいいのかもしれないね。
でも、
ただ、ちいちゃんが元気でいてくれたなら、ちいちゃんが笑顔でいてくれたなら、ぼくはそれだけでいい。
ただきみがすこやかにそだちますように。
おとうさんもね、だからそんなことをときどきお願いしたいと思う。