スピカ
我が家にサンタクロースは24日の夜にやってきた。
やっぱり、ぼくがどうこうということやほんとうのところがどうとかということよりも、ちいちゃんに楽しみが多いってことがいちばんということで。
23日はお出かけができなかったし、だからクリスマスイブ、クリスマスとそれぞれ少しでも楽しく過ごしてもらいたいと思った。
クリスマスイブの夜、ちいちゃんは落ち着かないみたいでなかなか寝付かなかった。
「早く寝ないとサンタさんも来られないんじゃないの」と、ぼくが言うと、
「ねえ、パパ」と、ちいちゃんは真剣なまなざしで問いかけた。「サンタさん、来なかったらどうしよう」
「大丈夫だよ」と、ぼくは答えた。「きっとサンタさんは来てくれるよ」
「なんで分かるの?」と、ちいちゃん。「だって去年もその前も来なかったんだよ」
ぼくのせいで、ちいちゃんのなかでは去年も一昨年もサンタクロースはちゃんと来なかったことになってしまっていて、なのでサンタクロースに対して不信感いっぱいのちいちゃんなのだ。
「大丈夫だよ」と、だからぼくはもう一度言った。「ちゃんとお手紙を送っておいたからね」
「それでも来なかったら」
ちいちゃんのなかのサンタクロースへの不信感はなかなかに相当なものみたいだ。ごめんなさい、サンタクロース。
「そしたら」とぼくは答えた。「パパがさ、ちょこちょこって取りに行ってくるよ。ちいちゃんへのプレゼントありますかってサンタさんに聞いてくる」
「え!」と、びっくりするちいちゃん。「パパ、サンタさんが住んでるとこ知ってるの?」
「ん」と、ぼく。「あ、いや。なんとか調べるよ」
墓穴を掘ってしまったかもしれない。どうやって、とまでは聞かれなくて良かった。
ともかく今年、サンタクロースはちゃんと来てくれた。ちいちゃんが寝付いたところで布団を抜け出して、しまっておいたプレゼントをちいちゃんと妻で用意して枕元に置いてある可愛い袋のなかへ。
ビニール製の袋なので、けっこうがさがさと音がしてちいちゃんが起きちゃわないかとちょっとヒヤヒヤしながら袋に入れ、きれいな緑色の紐で口をしばる。
ちいちゃんはすやすやと静かに眠っていて、明日起きたときどんなふうに思うのかなとぼくは考えた。もちろんそんなこと分かりもしないのだけれど。
翌日、ぼくは仕事だけど冬休みに入っているからちいちゃんはもちろんお休み、なので朝も早いし妻とちいちゃんは起こさずに出かける。ただ何も声をかけずに出かけてしまうとちいちゃんが泣いてしまうことがあるので、「パパ、行ってくるからね」とだけちいちゃんに声をかける。
「パパ」と呟いて、でもなかなか起きられないちいちゃんだったけれど、なんとか眠そうな顔でぼくを見た。「んー。サンタさん、来てる?」
やっぱりそれは心配みたいで、ちゃんと確認。だからぼくは言った。
「大丈夫。サンタクロースはちゃんと来てくれたみたいだよ」
***
さて、
今年、ちいちゃんがサンタクロースに願ったものはこんなおもちゃ。
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ぼくはよく使い方を知らないのだけれど、ゲーム機みたいなものみたいでうちではゲームはできる時間が決まっている。
で、
もちろん、これも例外ではないわけで。そして、
ぼくが仕事を終えてちいちゃんはどんなに喜んでいることだろうと、期待に胸を膨らませて帰宅すると、残念ながらちいちゃんはママから注意を受けていた。
「パパ」と、ちいちゃんはうれしそうに言った。「サンタさん、ほんとに来てくれたよ」
「そっか」と、ぼくは答えた。「よかったね。ちいちゃんが今年1年、とてもがんばったおかげだね」
「そうかなー」と、ちいちゃん。そして続けた。「起きたときね、ほんとかなあって思ったんだけど、袋のなか四角いのが入ってて、ほんと来てくれたんだーって思ったの。すごくうれしかったよ。だからね、パパもいっしょにやろ」
「いいよ」と、ぼくは答えた。なんだか心がいっぱいになった。たいせつなひとが喜んでくれるということは、こんなにも幸せなことなんだなあと改めて思ったりした。
けれど、ここでママの厳しいひとこと。「ダメでしょ。今日、もう何時間やったと思ってるの。明日にしなさい」
ちいちゃん、いったいどれだけやってたのさ?
でも、
サンタクロースのプレゼントをとても素直に喜んでくれてありがとう。たくさん遊んでくれてありがとう。ママが全面的に正しいけれど、そうは言いつつもこんな日くらいはいいんじゃないかなってきっとママも思ってくれていると思うよ。
ねえ、
ちいちゃん。
毎日、毎日がいつもやさしいきもちでいられるわけではないけれど、こんなふうにして幸せって途切れながらも続いていくのかもしれないね。
クリスマスの夜、ちいちゃんの笑顔を見ながらぼくはそんなことを思った。